米国長期金利が3%に到達

米10年物国債の利回りがついに3%に到達しました。3%は単なる数字であると言えますが、長期金利上昇の重要な節目であると思います。

米国長期金利

また、短期金利の上昇もしており、イールドカーブとしてはフラット化が進んでいます。これは好調な経済成長によりFEDの利上げが予想される一方、緩慢な物価上昇が長期金利の上昇ペースを抑えているからです。こうした動きがさらに進めば、長期金利が短期金利を下回る逆イールドという状況になってきます。

一般に、逆イールドはリセッションの予兆とも言われます。逆イールドというのは、将来の短期金利予想(フォワードレートと言います)が、現状の水準よりも下回ることによるもので、投資家が将来の短期金利の低下を想定している状況と言えます。それはつまり、FEDによる金融引き締めの終わりを意味していますので、経済になんらかの変調が起こっているという状況とも言えます。

この逆イールド下では、しばしば株式の下落に見舞われてきましたが、金利が上がって、経済に変調をきたしている状況ということでは、しごく当たり前の話です。

ただし経験上、逆イールドになった場合、その状況で株式下落を狙うよりも、中央銀行が引き締めから緩和に転換するタイミングを狙い、金融緩和によって恩恵を受ける資産の買い入れを行うタイミングとして考えた方が良いと思います。相場の天井や底値を当てるのは中々難しいことと、目先の下げよりも将来の大きな上昇を狙った方が、リスクが少ないと思います。

リスクオフポジションの調整

事前に決めたとおり、想定よりも早いですが一部のポジションをクローズいたします。バリュー株の買い・グロース株の売りのポジションは、ハイテク株の調整もあって利益を上げることができました。

ハイイールド債の売りは、2月に大きく下落している最中に空売りしたので、大きな利益を上げることができませんでした。ポジションを取るタイミングが少し遅かったと思います。

米国ハイイールドETF

長期投資のヘッジについては継続します。逆イールドの状況になるのか?回避することができるのか?を見極めるまで継続したいと思います。

米国株式(SP500)

ポジション 状況 方針
バリュー買い・グロース売り 終了
ハイイールド債の売り 終了
バイオ株の長期投資 ヘッジを継続

今後は、米国経済、特に個人消費に長期金利の上昇の影響がどう出てくるのか、もしくは出ているのかに要注目です。GDP統計を詳細に見ていくつもりです。

世界同時株安後の動向と今後の方針

これまでリスク資産に対し弱気な立場を取っていますが、今後の方針について考えてみたいと思います。

2月初旬に始まった世界同時株安の動きですが、想定通り急落後大きなボックス圏をつくってきているように思います。

SP500

NK225

日本の株式については、為替が円高に振れており、米国に比べて下値を切り下げていますが、日本の経済にとって自力で上向くほどのドライバーがない現状からは、仕方ないのかもしれません。

麻生大臣ではないですが、TPP11発動よりも”もりかけ”問題にクローズアップするマスコミや知識人のピントのぼけた対応が象徴的です。

日本固有の問題としては、北朝鮮問題、消費増税が今後控えていますが、どれも世界経済を牽引するような話ではなく、むしろ劣後させるようなものなので、まだ当面は世界経済を念頭に置いた考えでいいのではないでしょうか。

さて、急落のきっかけとなった米国長期金利の動きですが、ここにきて低下してきております。株式の下落を受けて債券を買う動きがでたためです。

では、長期金利が低下しているので、リスク資産を今後も買っていけるのでしょうか?

基本的には米国経済は順調に推移しており、金利上昇の影響が住宅や自動車などの耐久消費財の消費行動にでてくるのはまだ先だと思います。従って、FEDは予定通り年3-4回の利上げを敢行していくものと思われます。

こうした状況では、政策金利に近い短期金利の上昇により長期金利へと上昇圧力が加わってくるのではないでしょうか。

したがって景気後退時によく現れる逆イールド(短期金利が長期金利を上回る状態)の状況はまだ先であると言えます。株式はまだ積極的に買えないと思っています。

今後の方針としては、

  • 長期金利が3%を超える状況。
  • 米国の消費動向に金利上昇の影響が現れ、FEDの引き締め策が緩和される状況。
  • 株式の大幅な下落により、FEDの引き締め策が緩和される状況。

以上のいずれかの状況までは、現状のリスクオフポジションを維持したいと思います。今後3-6か月後を想定していますが、リスクオフポジションでのリターンはそれほど大きくとれるとは思っていないので、ある程度利益が出てきたら、順次利益確定したいと考えています。大きくリターンを取るのは、その後の金融緩和ポジション(リスクオンポジション)でと期待しています。

確定拠出年金のポジション

昨年の7月にお伝えした確定拠出のポジションですが、すでにリスク回避的なポジションにしているため、変更はありません。

確定拠出年金の運用

少しリスク回避のタイミングが早かったことが反省点です。次のリスクオンのタイミングに集中して、挽回したいと思います。

GPIF基本
ポートフォリオ
自分の平常時
ポートフォリオ
現状の
ポートフォリオ
国内債券 35% 20% 10%
グローバル債券 15% 20% 10%
新興国債券 5% 0%
国内株式 25% 25% 15%
グローバル株式 25% 25% 15%
新興国株式 5% 0%
短期資産 0% 0% 50%

注1)GPIF基本ポートフォリオ:GPIF(Government Pension Investment Fund 年金積立金管理運用独立行政法人)が策定しているポートフォリオ。
注2)自分の平常時のポートフォリオ:私、オーバーフィフティが、現在想定している基本ポートフォリオです。

個人の主観によるものですから、あくまでもご参考に。今後も変更のたびにお伝えしていこうと思います。

3月FOMC

米国FED(連邦準備制度)は、3月20日から21日までFOMCを開催し、0.25%の利上げを決定いたしました。これにより政策金利は、1.5%-1.75%となります。

利上げは事前に想定したとおり。問題は、今後の利上げ方針ということですが、これも想定したとおり、ややタカ派(引き締め)なものとなりました。

今後の金利の方向性を示すドットチャートも、年4回の利上げを想定する委員が増えました。ニュース速報等では、ややハト派(緩和)な結果からドル安に動いたとか報じていますが、はっきり言ってタカ派です。ただし、事前に市場が織り込んでいただけの話だと思います。

また、トランプ政権による保護貿易政策による世界景気の減速を懸念したドル安(円高)の影響が大きかったのではないでしょうか。

こうしたインフレ圧力につながる政策のもとで、パウエル議長(FED)の政策実行は困難なものとなっていくと思われます。

引き続き、株式は買えない状況です。リスクオフポジションは継続し、バイオ株のヘッジとして先物を売り建てしました。

ポジション 状況 方針
バリュー買い・グロース売り 維持
ハイイールド債の売り 維持(資源株の買いを終了)
バイオ株の長期投資 ヘッジを実施

3月FOMCの事前想定

米国FED(連邦準備制度)は、3月20日から21日までFOMCを開催し、21日に新たな金融政策を公表します。

今回は新議長に就任したパウエル議長にとって初のFOMCとなります。就任時にNYの株式下落による世界同時株安に見舞われ、そのかじ取りが注目されています。

パウエル議長自身は、イエレン前議長と同様な姿勢と思われており、若干ハト派(緩和姿勢)と目されています。前回公表されたドットチャート(将来の政策金利の想定)からは、本年3回の利上げを予想する委員がもっとも多く、金利先物市場が9割以上の確率を織り込んでいることから、今回の利上げはほぼ確実と言っていいのではないでしょうか。

今回の注目点としては、年3回と思われていた利上げの回数が、4回となる可能性をどれほど示すかにかかっていると思います。

最近の経済指標(GDP速報、雇用統計、etc)からは、順調な景気状況が示され、トランプ減税による景気浮揚効果も考えると、教科書的な知識からは、よりタカ派(引き締め)なニュアンスにシフトするということが考えられます。

パウエル議長は、イエレン前議長と違い経済学者ではありません。実業界の出身で、専門はプライベート・エクイティです。どちらかというと、その専門性というよりも銀行規制の緩和においてトランプ大統領の意をくみそうというところで、任命されたのではないかと思っています。したがってバリバリの高度なマクロ経済を得意とするメンバーの中にあっては、独自の色を出しずらいのではないでしょうか。

予想としては、ややタカ派的なニュアンスを出してくるのではないかと予想します。ただし、その場合でも、市場はある程度織り込んでいるので、大きな動きにはならないと思います。

暴走するトランプ大統領

とうとうコーンNEC担当補佐官の辞任に加え、ティラーソン国務長官も解任されてしまいました。
ペンシルバニア補欠選挙のために、地元の主要産業である鉄鋼・アルミニウムに関税をかけるという荒業のために、コーン氏が去ったのですが、その選挙も接戦で、民主党が勝利宣言をする始末。

その敗戦をけむに巻くために、ティラーソン長官を解任したんだと思います。まあ、ティラーソン長官は、「いずれ切られる」と思われていたので、大きなショックはありませんでしたが、まさにトランプ劇場です。

こうした状況から考えられることは、

  • 回りを固める人員が小粒になって、YESマン(ウーマン)ばかりになっていく。
  • コーン氏がさり、ゴールドマン人脈は、とうとうムニューチン長官だけになってしまった。
  • → 保護貿易のブレーキがなくなる。
  • → 対北朝鮮問題も曖昧な決着が難しくなった。対中間選挙対策でなんらかの軍事行動をとっても不思議ではない。

資本市場にとっては、リスクが増大する局面になったように思います。

保護貿易は何をもららすか?

まず第一に保護貿易の敗者は、消費者ということです。結局のところ製品価格の上昇により、インフレ圧力が加わり、ひいては長期金利に上昇圧力を加えることになります。

一方で、昨年末に決まった減税により、景気拡大期待からもインフレ懸念が高まりやすい状況です。問題は、大きな財政赤字の拡大です。貿易収支も赤字であることから、資本収支の黒字、つまり米国債を中国、日本などに引き受けてもらう必要があります。

中国などが、米国債の売却をちらつかせば、米国の長期金利は急騰することになり、世界景気にとってはダメージが大きくなります。

保護貿易圧力を米国がかければかけるほど、金利の上昇圧力がますというチキンゲームに突入していくことになります。

ドル相場も、対外債務拡大を受けて、ドル安指向を高めることになるのではないでしょうか。

米国長期金利とリスク資産

2月初旬の株式の下落は、米国長期金利の上昇がきっかけでした。現在は、予想通りボックス圏での動きとなっていますが、金利の水準は変わりなく、取り巻く状況も変わりなく、むしろ上昇圧力を増す方向です。

景気が大きく減速しなければ、よりリスクの高い資産(ハイイールド債など)の調整にとどまるかとも思っていましたが、先進国株式の大幅な調整も考慮に入れざるをえなくなりました。

株式はいまだ買えないと思っています。