第4四半期日本GDP

2017年10-12月 日本GDP速報

内閣府が2017年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値を発表しました。

GDPは、8四半期連続のプラス成長の0.5%(前期比年率換算)。事前予想(0.9%)をやや下回りました。

前期マイナスに転落した個人消費が持ち直し、好調な輸出、設備投資が下支えしました。

個人消費は、1.0%と前期のマイナスから回復し、設備投資は、0.4%、輸出は、1.6%となり、プラスを維持しています。政府支出や住宅投資は、それぞれ▲0.1%、▲0.3%とマイナスになりました。

個人消費は、前期の夏場の天候不順の影響がなくなったため、回復しましたが、賃金の伸びが見られない中、足元の野菜高騰の影響が響いてきそうです。賃金の伸びが明確に見られてくるまでは、個人消費の高い貢献は期待できないと考えています。

好調な設備投資、輸出は、米国を中心とした世界景気の拡大の恩恵を受けたものと思われます。米国の長期金利上昇による影響が、米国の個人消費に影響を与えるか、今後には注意が必要だと思います。

好調な米国のGDPから、より高い輸出、設備投資の寄与を見込んでいましたが、少し物足りないものになりました。

基本的には、緩やかな拡大基調が続くと思っていますが、これまでと同様に国内の市場に影響を与えるような数字は出てこないと考えています。

運用戦略

今後の市場への影響は、引き続き米国株式市場、為替市場の動向次第でしょう。米国の長期金利の上昇に端を発した株式の調整ですが、第2段階の投資家のリスク調整(リスクオフ)の段階にきているとみています。

この場合、調達通貨である円は還流することになりますので、株価下落と円高がセットになりやすいです。株価下落→円高→株価下落というジョージソロス氏が唱えている再帰理論がさく裂することになる気がします。

震源である米国市場では、第2段階のリスク調整の株式売却のフェーズの中、FRBの政策金利の動向に目が向くのではないでしょうか。従来どおりのタカ派的な姿勢が維持されれば、緩和姿勢の催促として株価が下落に向かう可能性もあります。3月のFOMCは要注目ですね。

最終的には、長期金利の上昇が、金利の上昇の影響を受けやすい自動車や住宅の分野に悪い影響を与えてくるかがポイントでしょう。むしろ”いつ”影響が出てくるかではないでしょうか。

この影響による株式の下落が第3段階だと思っています。年後半になるかもしれませんね。

現在のリスクオフポジション(バリュー株のロング+グロースの株ショート、ハイイールド債のショート+資源株のロング)のうち、資源株のロングを手仕舞い、よりショートバイアス(売り持ち)を高めていこうと思います。

株式の調整は一時的か?

米国長期金利の急騰に端を発した世界同時株安ですが、一旦の落ち着きを見せています。そもそも下落率でみれば、それほど大きくはないのですが、長らく低い変動性で推移していた中での、急落は大きなショックを与えました。

恐怖指数と呼ばれる投資家の想定する株式の変動率は、一時的に50%を超える水準となり、10%以内で推移していた状況から、大きなジャンプとなりました。40%を超えると大きなショックと言えるので、恐怖指数の面からでは立派な急落と言えます。

米国:恐怖指数(VIX)

さて、株価ですが現在このように推移しています。

S&P500指数

日経平均

急落の要因

そもそも株価はなぜ調整したのか? 米国長期金利の急騰が原因と言われていますが、これは金利が上がれば、株式よりも債券に投資する投資家が増え、株式の下落、金利の低下を促すからです。

事前に長期金利が2.7%-3%を危険水準としていたのは、株式の配当利回り、ハイイールド債、国債金利、経済の潜在成長率を比較し、設定したものでしたが、まさにこの水準で急落が起こったことになります。

今後の金利の動向

アメリカ経済は、前回の世界金融危機以降、順調に回復し、景気拡大局面が長く続いています。そうした中で、徐々に利上げを慎重に行い。昨年後半には、FEDはバランスシート圧縮を開始しています。サイクルとしては、景気拡大の終盤と言えます。

中央銀行は、インフレ率をコントロールするために、政策金利を上げていくわけですが、長期金利が上がりすぎて経済を失速させないようにすることが必要です。イエレン前議長は非常に慎重に行動し、市場の信認も厚かったために、株式は、適温相場(ゴルディロックス相場)を形成していました。

適温相場というのは、高すぎない金利のもと、経済の拡大を享受し、株価が上昇するという相場を意味しているわけですが、長期金利の水準が高くなってきたことや、FRB議長の交代によるFEDに対する信頼感の低下から、このタイミングでの調整になったものと思われます。

今後の金利動向ですが、インフレ動向に直結する雇用状況(低い失業率、高い賃金の伸び)から、年3-4回の利上げは不可避ではないでしょうか。バランスシート圧縮は、長期債の入札通じて、長期金利に上昇圧力をかけていくと思われます。景気の失速回避と適度なインフレ率の維持をバランスシート圧縮下で行うのは、中央銀行にとって困難なものとなると思います。パウエル議長の腕の見せ所ですね。個人的には悲観的にみていますが。

今後の株式相場の動向

暫くは、好調な企業業績、景気指標のもとで、金利との綱引きによるレンジの広いボックス相場を基本的には想定しています。

今回の急落により、株式のリスクを再認識した投資家による株式から債券へのシフトも起こるために、一本調子の上昇は考えにくいです。

一方でトランプ政権によるインフラ投資が、株式にカンフル剤を打つかもしれませんが、長期金利の上昇にも同様にカンフル剤を打つことになります。この場合には、株式投資家は楽天的なので先に株式が大きく上昇するかもしれません。絶好のリスクオフタイミングになる可能性がありますね。

目先のポイントは、3月のFOMC(金融政策決定会合)になると思います。まずはパウエル議長に注目です。

 

FRB議長にパウエル氏へ

トランプ大統領は11月2日、来年2月に任期が切れるイエレン議長の後任に、現在FRBの理事を務めるジェローム・パウエル氏を指名しました。

パウエル氏は過去5年にわたりFRBの理事をしていましたが、議長であるイエレン氏に異を唱えたことはなく、ほとんどイエレン氏の考えと同じであるように思えます。

やはりトランプ大統領は不動産業で成功したとあって、金利というものにすごく敏感であったと思います。実体としては、限りなく現状維持であり、穏やかな金利の引き上げを目指す現在の政策が継続されることになります。

12月FOMC

次回のFOMCにおいて、おそらく利上げが行われることになります。現在、短期金融市場での12月利上げの確率は98%と想定されていますので、織り込み済といえるでしょう。

為替市場は、114円台に戻し、株価は最高値を更新中です。長期金利は、2.3%と依然低い状態が継続しています。トランプ大統領は、タカ派の次期議長案をちらつかせ、パウエル氏をよりハト派に見せる印象操作に成功したのではないでしょうか。

問題は、いつまでこの良好な関係が続くかということだと思います。金融危機後、市場や経済を支えてきた量的緩和を縮小させるわけですから、金利上昇を通じて影響が徐々に出てくると考えています。やはり長期金利の3%超えが危険ラインではないかと想定します。ジャンク債金利や株式の配当利回りとのバランスからは、その水準が上限ではないでしょうか。

当面の戦略

ドル円のロングは、継続保有。株式の警戒も継続したいと思います。はたしてこの景気拡大がいつまで続くのか、長期停滞論の再燃があるのか注目です。

衆議院選挙 結果

与党圧勝

まだ未開票があり、4議席が未定ですが、概ね選挙の結果が判明しました。
終わってみれば、野党第一党であった民進党の選挙前分裂により、与党が圧勝する結果となりました。

これで第四次安倍内閣がスタートすることになります。自民党にとっては笑いの止まらない結果でしょうね。多数の立候補者を擁立した希望の党の人気が急速にしぼみ、かわりにあまり候補者をたてなかった立憲民主党が人気を集める結果となったわけで、選挙戦は非常に楽ではなかったかと推測します。

また、意外に票を集めた立憲民主党の人気も、そう長くはないと想像します。義理人情で集めた部分が多いと思いますので、今後の参院民進党、希望の党、無所属議員の間で行われる民進党の遺産争いを見て熱がさめる可能性があると思います。

上昇する株式市場

さて市場への影響ですが、与党圧勝を受けて上昇しております。海外市場の高値更新、円安と外部環境の好転もあり、買い安心感が広がっているようです。

米国におけるバランスシート圧縮開始で株価の調整を予想した私にとっては、困った状況です。米国長期金利は、2.39%と警戒ラインの2.7%までは幾分余地がありますので、しばらくは高値圏での推移が続く可能性が高いですね。

次はFRB議長決定

しかしながら、米国の金利上昇トレンドは継続するものと考えていますので、この水準から株式の見方を変える必要はないと考えています。問題は次期FRB議長が誰になるかだと思います。トランプ大統領は、近日中に決定するという見通しを示しています。

候補は、イエレン元議長、ケビン・ウォルシュ元理事、ジョン・テイラー教授、ジェローム・パウエル理事、元ゴールドマンサックスのゲイリー・コーン氏あたりでしょうか。ハト派になるかタカ派になるかで、為替相場、株式市場への影響が大きく変わってくると思っています。

FRB議長の決定まで、現在の相場観は維持していこうと思います。

2017年9月FOMC

9月20日、FED(連邦準備制度)はFOMC会合を行い、政策金利の現状維持、また「バランスシートの圧縮」については10月より行うことを決定しました。同時に将来の利上げを示すドットチャートは、年内1回、2018年は3回との見方を示しています。また、最近の弱いインフレの状況が年内には消える公算が大きいとの見通しを示しました。全般的にややタカ派的な発言であり、これを受けて米長期金利は上昇し、ドルが強含みました。

ドル円は、ここしばらく弱い米国のインフレ指標による長期金利の低下とともにドル安となり、北朝鮮のミサイル、核実験問題のたびに弱含む展開が続いていました。

トランプ政権と民主党

ようやく北朝鮮問題への感応度が低下し、トランプ米大統領が、ハリケーン「ハービー」の救済措置と債務上限の3カ月引き上げを一本化する民主党案への支持を表明したことにより、トランプ政権の減税、インフラ投資への期待が高まり、ドルを押し上げることになりました。

これは小さな政府を標榜する共和党保守派との決別を示した可能性があり、大きな転換となるかもしれないと思っています。なぜなら大きな政府が好きな民主党と手を握るということは、選挙公約である減税とインフラ投資の実現性が高まるからです。共和党保守派に対しても大きなプレッシャーを与えることになります。

ポジション完成

とにかくドル円の水準が112円に戻ったことは素直に喜びたいと思います。ドル円のポジションも計画通り完成しました。北朝鮮のミサイルのおかげで買いコストも低くすることができました。今後は、トランプ政権の減税の行方がどうなるかを注意深く見守っていきたいと思います。

株式市場は?

当初、バランスシート圧縮開始による金利上昇圧力から高値圏にある株式市場は、調整が必要となると予想して、ポジションを落としました。しかしながら弱いインフレ指標の影響から米国長期金利はむしろ低下し、昨日のタカ派的なFOMCの結果に対してもダウは高値をい更新してみせました。考えている危険な金利水準(2.7%程度)まではまだ距離があるので、株式の調整は先延ばしされていると考えています。株式に関しては、しばらくウォッチを継続したいと思います。