5月3日、FED(連邦準備制度)はFOMC会合を行い、政策金利の維持を決定しました。政策の維持は予想どおりです。問題となるのは現状の景気の認識がどうのようなものかということでしょう。70%程度織り込まれている6月の利上げを示唆するものになっているでしょうか。
第一四半期GDPどおりの声明文
発表された声明文の内容は、「実体経済は減速したが、労働市場は改善を続けており、失業率は減少している。個人消費の勢いは強くないが、消費を支えるファンダメンタルズは強固。企業投資は強まっている。」となっており、第一四半期のGDPの結果をほぼなぞったものとなっています。6月のFOMCでは、今後何もなければ利上げをしますよっというニュアンスではないかと思います。この結果を受けて市場はやや金利上昇、為替はややドル高へと動きました。
ファンダメンタルズは強固?
GDPでの高い雇用コストの伸びが、消費を支えるファンダメンタルズは強固と言わしめていると思われますが、金利上昇の悪影響による自動車販売の鈍化にみられるように、それほど強固だとは思えません。GFC(グローバル・フィナンシャル・クライシス)によってゆがめられた季節調整のアヤがどの程度影響しているかわかりませんが、それほど楽観していられるものではないと思います。第一に企業の投資活動の上昇は、原油価格上昇の影響が大きいと思われるます。原油相場は現在50ドルあたりで安定していることから、さらなる投資活動の活発化は期待できないのではないかと考えています。
市場は利上げを織り込みに
昨日、オバマケア代替法案が下院で可決したというニュースがありました。これにより減税策が前進するという期待も盛り上がることになるでしょう。また、フランス大統領選挙の討論会の結果、マクロン候補の優勢が確実化したとの報道も市場にとっては前向きなものです。今晩の雇用統計次第ですが、おおむね6月利上げに向けて市場は強気を維持し、ドル円もドル高に推移していくのではないかと見ています。
利上げと政策の切れ目
したがって現在の米株のロングは維持しますが、あえてここからドル円のロングを持つのはリスクが高いと考えています。対日貿易赤字が拡大し、ロス商務長官が「米国はもはやこの膨張した貿易赤字に耐えられない」と表明しているからです。日本を名指しで批判しており、不均衡の是正を理由に2国間協議へ圧力をかけたとみられます。
6月利上げから減税策が具体化する8月以降の期間は、危険な期間になる可能性が高いと考えていますので、6月利上げに向けてリスク志向が高まる局面では、その後のリスクオフ志向見据えてポジションをとって行きたいと思っています。