第3四半期日本GDP

2017年7-9月 日本GDP速報

内閣府が2017年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値を発表しました。

GDPは、7四半期連続のプラス成長の1.4%(前期比年率換算)。事前予想(1.5%)をやや下回りました。

前期の牽引役であった個人消費は、前期の反動と天候不順によるマイナス転化と思われます。一方で外需と設備投資が全体を下支えしたもようです。

個人消費は、▲1.0%、設備投資は、0.2%の寄与。輸出は、1.0%となり、前期のマイナスから回復しました。政府支出や住宅投資は、それぞれ▲0.1%、▲0.1%とマイナスになりました。

個人消費は、賃金の伸びが見られない中で、前期の高い伸びを懐疑的に見ていましたが、今期は、夏場の天候不順が響いたものと思われます。依然として賃金の伸びは抑制されていますので、個人消費の高い貢献は期待できないと考えています。

輸出の回復は、米国を中心とした景気拡大の恩恵を受けたものと思われます。米国の個人消費は減速の兆しが見えているので、今後には注意が必要だと思います。設備投資も好調な世界経済の動向を受けてのことだと思いますので、同様に、米国の個人消費に注視が必要と思います。

運用戦略

これまでと同様に、今後の市場への影響は、米国の景気動向に左右されると思っています。再び米国金利が上昇しはじめましたが、自動車や住宅などに金利上昇の影響が出始めているのではないかと見ています。

次期FRB議長がパウエル氏に決まり、今後も緩やかな金融引き締めが想定されていますが、問題は米国経済がどこまで持ちこたえるかでしょう。米国経済が持ちこたえる限り、金利の上昇は継続することになるのではないでしょうか。

一方で株式市場のバリエーションは高いですが、バブルと呼ぶほどではないことから暴落といった可能性は低いと考えます。もちろん調整の必要はあると思いますが、大きなショックは考えずらいですね。あるとするならば割高となっているジャンク債の暴落によるリスクオフのショックでしょうか。

長期金利の上昇と株式のバリュエーション、ジャンク債利回りとのチキンゲームの局面と見ています。為替のドルロング、株式の様子見を継続していきます。

 

衆議院選挙 結果

与党圧勝

まだ未開票があり、4議席が未定ですが、概ね選挙の結果が判明しました。
終わってみれば、野党第一党であった民進党の選挙前分裂により、与党が圧勝する結果となりました。

これで第四次安倍内閣がスタートすることになります。自民党にとっては笑いの止まらない結果でしょうね。多数の立候補者を擁立した希望の党の人気が急速にしぼみ、かわりにあまり候補者をたてなかった立憲民主党が人気を集める結果となったわけで、選挙戦は非常に楽ではなかったかと推測します。

また、意外に票を集めた立憲民主党の人気も、そう長くはないと想像します。義理人情で集めた部分が多いと思いますので、今後の参院民進党、希望の党、無所属議員の間で行われる民進党の遺産争いを見て熱がさめる可能性があると思います。

上昇する株式市場

さて市場への影響ですが、与党圧勝を受けて上昇しております。海外市場の高値更新、円安と外部環境の好転もあり、買い安心感が広がっているようです。

米国におけるバランスシート圧縮開始で株価の調整を予想した私にとっては、困った状況です。米国長期金利は、2.39%と警戒ラインの2.7%までは幾分余地がありますので、しばらくは高値圏での推移が続く可能性が高いですね。

次はFRB議長決定

しかしながら、米国の金利上昇トレンドは継続するものと考えていますので、この水準から株式の見方を変える必要はないと考えています。問題は次期FRB議長が誰になるかだと思います。トランプ大統領は、近日中に決定するという見通しを示しています。

候補は、イエレン元議長、ケビン・ウォルシュ元理事、ジョン・テイラー教授、ジェローム・パウエル理事、元ゴールドマンサックスのゲイリー・コーン氏あたりでしょうか。ハト派になるかタカ派になるかで、為替相場、株式市場への影響が大きく変わってくると思っています。

FRB議長の決定まで、現在の相場観は維持していこうと思います。

解散総選挙

久しぶりに国内政治について考えてみたいと思います。

9月28日午後、衆議院が解散されました。「10月10日公示、22日投票」の日程となり、「アベノミクス解散」2014年12月14日以来、約3年ぶりです。

安倍首相の解散の目的は「国難を突破するため国民の信を問う」ということで、過半数(233議席)を目標に掲げました。

株式市場は、海外市場の堅調さもあり、概ねポジティブな反応をみせましたが、これまでの経験則からのものと推察されます。

解散は総理大臣の伝家の宝刀であり、自身で適切なタイミングで行えることから、選挙後の経済政策の実行がスムーズに行くとの思惑から、株式市場は上がることが多いのです。

さて今回ですが、全体で10議席減って465議席になります。現状では、自民党が287議席、公明党が35議席、併せて322議席もあったわけですから、自公で過半数の233議席はさすがに割らないのではないでしょうか。それにしても安倍さんの目標設定がかなり低いという印象です。

希望の党に民進党、自由党、維新まで合流し、すさまじい希望の党ブームになる可能性はなきにしもあらずですけどね。

民進党、希望の党へ合流へ

今回の選挙でポジティブな点は、民進党の解党なのではないでしょうか。とにかく政策に反対しかせず、対案も出さない野党第一党に存在意義はないでしょう。政権交代の能力のない野党第一党がかわることは望ましいことだと思います。

一方で、希望の党ですが、なんだかよくわかりません。選挙公約は、「消費税増税凍結」「原発ゼロ」「憲法改正」になるんでしょうか。政党のスローガンは「寛容な改革派保守」「脱しがらみ政治」ということですが、なんだかボヤっとしてますよね。

第一、私には、小池さんは改革者のイメージがまったくないのです。あえて言えば、ポピュリズムに秀でた人物に見えます。

民進党の前原代表は「安倍政権を倒す」との一点で合流を決めたそうですが、まず民進党自体を政権交代可能な政党にすべきだったんじゃないでしょうか。もっとも民進党左派との調整が難しいので、こういう大ナタが必要だったのかもしれませんが。

議員のとっての希望の党、民衆にとっての失望の党にならないことを願います。

市場への影響は?

基本的には、日本の内需が長期的に弱いので、あくまで外需のドライバーであるアメリカ経済次第という考えは変わりません。日本の内需に与える影響ですが、やはり「消費増税」が大きいと思います。

小池新党の躍進で「消費増税見送り」の機運が高まるのであれば、株式はプラスに評価するのではないでしょうか。自民党の消費増税の使い道の変更は、全体でみればニュートラルではないでしょうか。

長期的な議論

仮に消費増税の用途変更や見送りが行われるようになった場合、どう考えればいいのでしょうか。

現在、日本のプライマリーバランス(財政の基礎的収支)はマイナスで、支出に収入が追い付かず、借金を重ね続けています。その借金も、結局、日銀が大量に買い込んでいるので金利はゼロ近辺に抑えられていて、非常に低金利で借金が続けられる状況です。

その状況の中で、収支を改善させるためや将来の社会保障費の増加に備え、収入を増やすために増税をしようとしていたわけです。ところが、これを新たな使い道に変更するということは、結局、新たな財政支出を伴う政策に、財政手立てをせずに、先に決まっていたところから、つけを回しているにすぎません。

ましてや増税を見送るというのは、低金利の状況にずっと甘えているということでしょうか。見送るのであれば、どうやってプライマリーバランスを均衡させるのかという方法も同時に提示する必要があると思います。

現在の国債残高が、国民一人当たり何百万円とかいって、メディアはあおりますが、一方で、資産も一人当たり何百万円も保有しているわけですから、残高の過多で大騒ぎすることはないと思います(でも限界はあります)。しかしながら、プライマリーバランスの赤字を減らすことは、今後の借金を考える上で非常に大事です。

日銀が長期金利をコントロールできているうちに、その方策を見出さないと、いつか金利の急上昇が起きるような気がします。

第2四半期日本GDP

2017年4-6月 日本GDP速報

内閣府が2017年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値を発表しました。

GDPは、6四半期連続のプラス成長の4.0%(前期比年率換算)。事前予想(2.5%)を大きく上回りました。

牽引役は、内需で個人消費と設備投資。名目でも4.6%と2四半期ぶりのプラスとなっています。

個人消費は、1.9%、設備投資は、1.5%の寄与。輸出は、▲0.3%と3四半期ぶりにマイナスとなりました。政府支出や住宅投資は、それぞれ0.3%、0.2%とプラスを維持しました。

個人消費の高い貢献は驚きでした。設備投資は、FA関連企業、半導体関連企業の業績から大きく寄与するのではないかと考えていましたが、消費関連企業の決算からは、消費の高い伸びは予想できませんでした。賃金の伸びが見られない中で、個人消費の高い伸びの継続にはまだ疑問があります。

設備投資は、好調な世界経済の動向を受けてのことだと思います。世界経済は、米国の個人消費に左右されますので、この動向に注視したいですね。

第一四半期日本GDP

トランプ大統領のロシアへのISISに関する機密情報漏洩問題や司法介入により、弾劾へ警戒が高まってきました。インテリジェンスの扱いに関して本当に素人ということを露呈してした形です。減税などの経済政策の進展の遅れから、米国株式も大きく下落し、円高が進んでいます。VIX指数も過去最低水準にあり、株式市場に対してかなり楽観が支配していた状況でのこのニュースですから、大きな調整のきっかけになるかもしれません。もっともトランプ大統領が弾劾された場合、ペンス副大統領がかわりに務めることになりますから、トランプ大統領よりも議会のコントロールはうまくできるのではないでしょうか。この問題は改めて検討してみたいと思います。

日本GDP速報

内閣府が2017年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値を発表しました。依然、世界経済のドライバーは米国経済だと考えていますのでそれほど重視してはいないですが、一応概観してみようと思います。

GDPは、5四半期連続のプラス成長の2.2%。事前予想(1.8%)を上回りました。牽引役は、個人消費と輸出。ただし名目成長ではマイナス0.1%とまったく実感のない景気ということが言えます。

個人消費は、0.8%、輸出は、1.4%の高い寄与、昨年来の円安や活発な海外経済が大きく貢献したようです。政府支出や住宅投資は相変わらず振るわず。設備投資も振るわなかった。

個人消費の高い貢献は意外でした。生鮮食料品の価格高騰の一服が消費者心理のプラスに寄与したのかもしれません。しかしながら賃金の伸びが見られない中で、高い伸びの継続には疑問が持たれます。やはり輸出だのみといったとこでしょうか。つまり為替レート→米国金利→米国経済の動向に左右される展開に変更はないと考えています。