雑感

米国長期金利は、株式の急落が起こった水準を越えて推移していますが、株式は堅調に回復してきています。

同様に、原油、金などの資源価格などの価格も回復してきています。

一方、為替は、株価が回復する局面では、ドル安の動きを見せており、金利差の動きと反対になっています。

これらの現象は、世界同時金融危機の前にも見られました。金融緩和によって大量の資金が、あらゆる資産に流れこんでいるために起こっているのだと思います。資産の価格が、膨大な余剰資金の動向によって変動しているわけです。

ということは、資金の流れが逆回転することになれば、逆の動きがすべての資産で起こることになります。また、そのトリガーは、長期金利の水準であると思います。

明らかなことは

  • 米国は、利上げのプロセスの最中であり、量的緩和の反対であるバランスシート圧縮にも取り組んでいる。
  • 欧州の緩和は、年内にも正常化を迎えると思われる。
  • 日本のゼロ金利政策は、緩和の限界に近づいている。
  • 米国のインフラ投資政策は、金利に上昇圧力を加える。

現在の世界景気の状況から、米国金利が上昇しないと考えることは不自然。つまり、いつかは、逆回転が起こると思っています。

ただし、10年近い緩和環境に慣れた投資家が、金利上昇に鈍感になっているために、なかなか資金の反転が起こらないかもしれません。 また、低インフレが継続するとして、長期金利の上昇も抑えられるかもしれません。

バブルの最後を当てることは困難なのですが、どこかの市場にそのほころびが見られることもありますので、注意深く各市場の動きを見る必要があります。

ポジションは、リスクオフ局面として取ったポジション(バリュー株のロング+グロースの株ショート、ハイイールド債のショート)は、そのままキープしています。さらに積極的に資金の流れの反転に賭けたポジションをどのようにとって行くかを、慎重に検討していこうと思います。

ポジション 現状 方針
バリュー買い・グロース売り 維持
ハイイールド債の売り 維持(資源株の買いを終了)
バイオ株の長期投資 一部ヘッジを検討

 

 

FRB議長にパウエル氏へ

トランプ大統領は11月2日、来年2月に任期が切れるイエレン議長の後任に、現在FRBの理事を務めるジェローム・パウエル氏を指名しました。

パウエル氏は過去5年にわたりFRBの理事をしていましたが、議長であるイエレン氏に異を唱えたことはなく、ほとんどイエレン氏の考えと同じであるように思えます。

やはりトランプ大統領は不動産業で成功したとあって、金利というものにすごく敏感であったと思います。実体としては、限りなく現状維持であり、穏やかな金利の引き上げを目指す現在の政策が継続されることになります。

12月FOMC

次回のFOMCにおいて、おそらく利上げが行われることになります。現在、短期金融市場での12月利上げの確率は98%と想定されていますので、織り込み済といえるでしょう。

為替市場は、114円台に戻し、株価は最高値を更新中です。長期金利は、2.3%と依然低い状態が継続しています。トランプ大統領は、タカ派の次期議長案をちらつかせ、パウエル氏をよりハト派に見せる印象操作に成功したのではないでしょうか。

問題は、いつまでこの良好な関係が続くかということだと思います。金融危機後、市場や経済を支えてきた量的緩和を縮小させるわけですから、金利上昇を通じて影響が徐々に出てくると考えています。やはり長期金利の3%超えが危険ラインではないかと想定します。ジャンク債金利や株式の配当利回りとのバランスからは、その水準が上限ではないでしょうか。

当面の戦略

ドル円のロングは、継続保有。株式の警戒も継続したいと思います。はたしてこの景気拡大がいつまで続くのか、長期停滞論の再燃があるのか注目です。

衆議院選挙 結果

与党圧勝

まだ未開票があり、4議席が未定ですが、概ね選挙の結果が判明しました。
終わってみれば、野党第一党であった民進党の選挙前分裂により、与党が圧勝する結果となりました。

これで第四次安倍内閣がスタートすることになります。自民党にとっては笑いの止まらない結果でしょうね。多数の立候補者を擁立した希望の党の人気が急速にしぼみ、かわりにあまり候補者をたてなかった立憲民主党が人気を集める結果となったわけで、選挙戦は非常に楽ではなかったかと推測します。

また、意外に票を集めた立憲民主党の人気も、そう長くはないと想像します。義理人情で集めた部分が多いと思いますので、今後の参院民進党、希望の党、無所属議員の間で行われる民進党の遺産争いを見て熱がさめる可能性があると思います。

上昇する株式市場

さて市場への影響ですが、与党圧勝を受けて上昇しております。海外市場の高値更新、円安と外部環境の好転もあり、買い安心感が広がっているようです。

米国におけるバランスシート圧縮開始で株価の調整を予想した私にとっては、困った状況です。米国長期金利は、2.39%と警戒ラインの2.7%までは幾分余地がありますので、しばらくは高値圏での推移が続く可能性が高いですね。

次はFRB議長決定

しかしながら、米国の金利上昇トレンドは継続するものと考えていますので、この水準から株式の見方を変える必要はないと考えています。問題は次期FRB議長が誰になるかだと思います。トランプ大統領は、近日中に決定するという見通しを示しています。

候補は、イエレン元議長、ケビン・ウォルシュ元理事、ジョン・テイラー教授、ジェローム・パウエル理事、元ゴールドマンサックスのゲイリー・コーン氏あたりでしょうか。ハト派になるかタカ派になるかで、為替相場、株式市場への影響が大きく変わってくると思っています。

FRB議長の決定まで、現在の相場観は維持していこうと思います。

2017年9月FOMC

9月20日、FED(連邦準備制度)はFOMC会合を行い、政策金利の現状維持、また「バランスシートの圧縮」については10月より行うことを決定しました。同時に将来の利上げを示すドットチャートは、年内1回、2018年は3回との見方を示しています。また、最近の弱いインフレの状況が年内には消える公算が大きいとの見通しを示しました。全般的にややタカ派的な発言であり、これを受けて米長期金利は上昇し、ドルが強含みました。

ドル円は、ここしばらく弱い米国のインフレ指標による長期金利の低下とともにドル安となり、北朝鮮のミサイル、核実験問題のたびに弱含む展開が続いていました。

トランプ政権と民主党

ようやく北朝鮮問題への感応度が低下し、トランプ米大統領が、ハリケーン「ハービー」の救済措置と債務上限の3カ月引き上げを一本化する民主党案への支持を表明したことにより、トランプ政権の減税、インフラ投資への期待が高まり、ドルを押し上げることになりました。

これは小さな政府を標榜する共和党保守派との決別を示した可能性があり、大きな転換となるかもしれないと思っています。なぜなら大きな政府が好きな民主党と手を握るということは、選挙公約である減税とインフラ投資の実現性が高まるからです。共和党保守派に対しても大きなプレッシャーを与えることになります。

ポジション完成

とにかくドル円の水準が112円に戻ったことは素直に喜びたいと思います。ドル円のポジションも計画通り完成しました。北朝鮮のミサイルのおかげで買いコストも低くすることができました。今後は、トランプ政権の減税の行方がどうなるかを注意深く見守っていきたいと思います。

株式市場は?

当初、バランスシート圧縮開始による金利上昇圧力から高値圏にある株式市場は、調整が必要となると予想して、ポジションを落としました。しかしながら弱いインフレ指標の影響から米国長期金利はむしろ低下し、昨日のタカ派的なFOMCの結果に対してもダウは高値をい更新してみせました。考えている危険な金利水準(2.7%程度)まではまだ距離があるので、株式の調整は先延ばしされていると考えています。株式に関しては、しばらくウォッチを継続したいと思います。

ポジションの点検

北朝鮮のミサイル・核実験をめぐって、金融市場が動揺しています。米国債券市場では10年債金利が低下し、為替もドル安に振れています。株式市場もレーバーデー明けの5日に200ドル超下げるなどしています。

ドル円

バランスシート圧縮を睨んでドル円の買いポジションを保有していますが、評価損を抱えた状況となっています。目標ポジションの50%程度の保有中なので追加のポジションをどうするか検討してみます。

そもそも今回のドル安は、米国のインフレ率が低迷する中で、FEDの態度がハト派的なものになってきたことが大きなものでした。これにより米国の金利も低下しています。

インフレ率の低迷は、処方箋、携帯電話のプランの分野での一時的なもので(クリーブランド連銀メスター総裁)、商品市況の動向などを見る限り、いずれ上昇圧力がかかってくるものと思います。

また、FEDがバランスシート圧縮を先延ばしする状況でもないように思います。ただし、ハリケーンの影響がどこまで拡大するかが懸念しています。経済の停滞をもたらすような大きな被害になるようですと、金利の低迷は避けられないからです。

ただしこのことは、債務上限問題について政権と議会の合意を促すということから、中立ではないかとも思います。債務上限問題が暗礁に乗り上げれば、米国国債の格下げを通じて、リスクオフの結果、逆に国債金利が低下することになると考えられるからです。

市場は現在、長期金利2.09%、年内の利上げ確率25%程度となっており、かなり市場はハト派に傾いています。この点でもうすでに上記の懸念は、織り込み済であると思えるので、むしろ地政学リスクでリスクオフになった場合には、ポジション積み増しの機会と捉えたいと思います。

株式市場

バランスシート圧縮に伴う金利上昇を見越して、株式の調整を予想しましたが、思わぬ金利低下により株価は持ちこたえています。金利の上昇が先延ばしされた分、株価もボックス圏で動くと想定しています。また、地政学リスクによる下落は、買いのチャンスではないかと思います。

電気自動車関連

中国での電気自動車の普及や日産の新型ノートの発売から、電気自動車関連の業績も動いてきました。株価も急騰、調整を繰り返しながら、順調に上昇しています。ただし株価が急騰している銘柄は、一部売却も行いたいと思います。