第4四半期米国GDP

米商務省が26日に発表した10~12月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比年率換算で2.6%増。

事前予想の2.9%を下回る結果となりましたが、旺盛な個人消費や設備投資がけん引しました。一方で輸入も大幅に増えたことで、GDPを押し下げることになりました。輸入の増加は、旺盛な需要の反映でもあるので、経済は堅調に推移しているといえるでしょう。結果、金融市場には大きな動きをもたらしませんでした。

 

では、いつものように、内容を確認してみましょう。

個人消費

大きなウエイトを占める個人消費ですが、3.8%増と、前全四半期の2.2%から加速。失業率が4.1%と17年ぶりの低水準で推移しており、良好な雇用環境や株高が後押ししたものと思われます。年末商戦もネット通販、大手百貨店とも良好でした。また金利の上昇にもかかわらず、自動車などの耐久消費財が伸びていることが驚きです。

固定投資

設備投資は6.8%増。前期の4.7%から加速しました。良好な原油相場(WTI:60ドル超)を受けて石油関連の投資が伸びたのではないでしょうか? また、IT関連も半導体関連を中心に好調な企業業績を反映し、積極的な設備投資が見られました。

住宅に関しても、11.6%と二桁の伸びとなっています。用地と熟練労働者のボトルネックは解決に向かっているのでしょうか。これも自動車と同様に金利の影響を大きく受けるはずですので、この強さは大きな驚きです。

輸出入

輸出は、6.9%増、輸入は、13.9%増。世界経済が成長する中で輸出は4四半期連続のプラス寄与。また、輸入は旺盛性な個人消費を反映したものでしょう。この結果、輸入増が輸出増を上回り、GDPの押し下げに働きました。

政府支出

これまでほとんど、寄与することのなかった政府支出ですが、3.0%のプラス寄与。国防費の増加によるところが多きかったようです。 今年はいよいよインフラ投資が政策の俎上にのって大きく貢献することができるのでしょうか。

まとめ

  • 米国GDPは予想を下回ったが、旺盛な個人消費、設備投資により、堅調に推移している。
  • トランプ政権の減税政策が可決。レパトリによる企業の設備投資が加速する可能性もある。
  • トランプ政権のインフラ投資が進展した場合、さらの景気を加速させるかもしれない。
  • 年3回の利上げを後押しし、さらに追加的な利上げが必要とされる可能性がある。

米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長ジェローム・パウエル氏のかじ取りが大きな影響を与えることになると思います。経済学者ではないパウエル氏が権威を持って政策をリードできるのか疑問があります。結果、多数をしめるタカ派的な政策がとられるのではないかと考えています。一方で市場は、好調な景気を受けてリスクオンのトレードが活発化すると思います。

 

やはり年前半は、リスクオン。後半のリスクオフを念頭に置いた準備をしたと思います。

2018年の見通し

しばらくの間、投稿しておりませんでした。あまりにもPVが低いために虚無感にさいなまれ、モチベーションの持続が困難であったわけです。

だが、しかし、本来、自身の運用の備忘録としての一面もありましたので、初心に帰って書いておこうと思い直しました。

 

ポジションの動き

さて、年末の動きですが、パウエル氏のFRB議長決定、米国減税法案可決などがありました。米国の長期金利上昇によるドル高、株式の調整を警戒し、ドルの買い持ちとしていましたが、実際に長期金利が上昇したものの、ドル安が進んでいます。

ポジションは事後報告になりますが、減税法案可決を受けて反対売買し、薄利であるものの利益確定いたしました。

本来、レパトリ減税はドル回帰からドル高に向かうと予想されますが、織り込み済であることや、世界経済がIMFの上方修正にみられるように、非常に好調であることが背景です。

世界経済の好調さは、原油価格の上昇にみられるように、資源価格にも現れており、もはや米国だけが好調という図式が変わりました。

もう一つの理由は、金価格の上昇です。本来は実質金利(名目金利-インフレ率)に反比例するはずですが、金利上昇と同時に金価格も上昇しています。この背景には、FRB議長の交代、トランプ大統領のアメリカ第一主義への疑念から、ドルへの信認が低下していることの証左かもしれません。

以上のような理由により、ドル買を撤退いたしました。一方で、金利上昇により株式のポジションは、バイオ関連株のロングを残して保有しておりませんでしたが、ここにきてバイオ関連株も米国での買収事案の頻発により、資金が流入してきています。

ドル円チャート

米国長期金利

ドル建て金価格

ドル建て原油価格

 

2018年のキーファクター

昨年から長期金利の上昇が株式の調整を促し、ドル高をサポートすると考えてきましたが、今年もやはり、長期金利の水準がキーだと思います。現在、2.66%という水準ですが、短期金利の上昇のわりに低く抑えられています。

FEDはドットチャートで年3回の利上げを示唆していますので、世界経済が順調に推移していく中では、3-4回の利上げは見込めると思います。そういった中では長期金利の上昇と株式市場の上昇が同時に進行するという状況が生まれています。

米国のレパトリ減税、ECB、日銀による金融緩和継続が、FEDのバランスシート圧縮を凌駕し、過大なキャッシュの行き先として、株式、ジャンク債、新興国へと流れていくのではないでしょうか。

そして、リスク資産からの資金逃避が始まる長期金利の水準は3%程度と考えています。

米国S&P500 チャート

日経平均チャート

投資戦略

強気相場の最終局面では大きく伸びるものですが、この水準から株式で大きく勝負することは危険だと思っています。もちろん大きな収益を生むチャンスでもありますので、小型株やテーマ株の値幅は大きなものになるでしょう。その点では現在保有しているバイオ株もターゲットになってきますので、このまま保有を継続していこうと思います。

従って、米国長期金利が3%以内である年前半は、小型株&テーマ株ロングを中心に行い、リスクオフの動きの中で真っ先に売られる資産の空売りの準備をしたいと思います。

今のところ、ジャンク債、新興国株式、高いバリュエーションの株式などが候補になると思います。タイミングとしては、トランプ大統領の手つかずの政策であるインフラ投資の具体化やFEDの利上げを想定しています。

今年は、経済学者でないパウエル新FRB議長の真価が問われるのではないでしょうか。

 

第3四半期日本GDP

2017年7-9月 日本GDP速報

内閣府が2017年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値を発表しました。

GDPは、7四半期連続のプラス成長の1.4%(前期比年率換算)。事前予想(1.5%)をやや下回りました。

前期の牽引役であった個人消費は、前期の反動と天候不順によるマイナス転化と思われます。一方で外需と設備投資が全体を下支えしたもようです。

個人消費は、▲1.0%、設備投資は、0.2%の寄与。輸出は、1.0%となり、前期のマイナスから回復しました。政府支出や住宅投資は、それぞれ▲0.1%、▲0.1%とマイナスになりました。

個人消費は、賃金の伸びが見られない中で、前期の高い伸びを懐疑的に見ていましたが、今期は、夏場の天候不順が響いたものと思われます。依然として賃金の伸びは抑制されていますので、個人消費の高い貢献は期待できないと考えています。

輸出の回復は、米国を中心とした景気拡大の恩恵を受けたものと思われます。米国の個人消費は減速の兆しが見えているので、今後には注意が必要だと思います。設備投資も好調な世界経済の動向を受けてのことだと思いますので、同様に、米国の個人消費に注視が必要と思います。

運用戦略

これまでと同様に、今後の市場への影響は、米国の景気動向に左右されると思っています。再び米国金利が上昇しはじめましたが、自動車や住宅などに金利上昇の影響が出始めているのではないかと見ています。

次期FRB議長がパウエル氏に決まり、今後も緩やかな金融引き締めが想定されていますが、問題は米国経済がどこまで持ちこたえるかでしょう。米国経済が持ちこたえる限り、金利の上昇は継続することになるのではないでしょうか。

一方で株式市場のバリエーションは高いですが、バブルと呼ぶほどではないことから暴落といった可能性は低いと考えます。もちろん調整の必要はあると思いますが、大きなショックは考えずらいですね。あるとするならば割高となっているジャンク債の暴落によるリスクオフのショックでしょうか。

長期金利の上昇と株式のバリュエーション、ジャンク債利回りとのチキンゲームの局面と見ています。為替のドルロング、株式の様子見を継続していきます。

 

FRB議長にパウエル氏へ

トランプ大統領は11月2日、来年2月に任期が切れるイエレン議長の後任に、現在FRBの理事を務めるジェローム・パウエル氏を指名しました。

パウエル氏は過去5年にわたりFRBの理事をしていましたが、議長であるイエレン氏に異を唱えたことはなく、ほとんどイエレン氏の考えと同じであるように思えます。

やはりトランプ大統領は不動産業で成功したとあって、金利というものにすごく敏感であったと思います。実体としては、限りなく現状維持であり、穏やかな金利の引き上げを目指す現在の政策が継続されることになります。

12月FOMC

次回のFOMCにおいて、おそらく利上げが行われることになります。現在、短期金融市場での12月利上げの確率は98%と想定されていますので、織り込み済といえるでしょう。

為替市場は、114円台に戻し、株価は最高値を更新中です。長期金利は、2.3%と依然低い状態が継続しています。トランプ大統領は、タカ派の次期議長案をちらつかせ、パウエル氏をよりハト派に見せる印象操作に成功したのではないでしょうか。

問題は、いつまでこの良好な関係が続くかということだと思います。金融危機後、市場や経済を支えてきた量的緩和を縮小させるわけですから、金利上昇を通じて影響が徐々に出てくると考えています。やはり長期金利の3%超えが危険ラインではないかと想定します。ジャンク債金利や株式の配当利回りとのバランスからは、その水準が上限ではないでしょうか。

当面の戦略

ドル円のロングは、継続保有。株式の警戒も継続したいと思います。はたしてこの景気拡大がいつまで続くのか、長期停滞論の再燃があるのか注目です。

第3四半期米国GDP

米商務省が27日発表した7~9月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比年率換算で3.0%増。

事前予想の2.6%を上回る結果となりましたが、米国10年債利回りは2.4%近傍まで若干低下しました。為替レートも、円ドルで114.2から113.7まで低下しました。在庫投資が支え、肝心の個人消費が伸び悩んでいることが嫌気されたようです。

ただし、全体としては堅調であり、個人消費も前四半期からは減速したものの、まずまずのペースで拡大していることから、12月のFOMCでの利上げの期待が高まるものと思います。

まずは、いつものように、内容を確認してみましょう。

個人消費

大きなウエイトを占める個人消費ですが、2.4%増と、前全四半期の3.3%から減速。ハリケーン被害による自動車の買い替えが貢献した模様。一方でサービスへの支出は大きく減速。賃金の伸びが限定的であるため、個人消費は大きな伸びは期待できない可能性もあります。

固定投資

設備投資は3.9%増。前期の6.7%からは減速しました。機器や知的財産への投資は前期並みの伸びでしたが、構造物への投資が減速しました。原油価格(WTI:54ドル)がじわじわ上昇していることから、石油関連の投資が今後は牽引するかもしれません。

一方で住宅に関しては、前期に引き続きマイナスの寄与となり、▲6.3%でした。引き続き、用地と熟練労働者がボトルネックとなっているようです。

輸出入

輸出は、2.3%増、輸入は、▲0.8%減。今期もドル安傾向であったことから、通貨安が輸出を後押ししたもと思われます。これにより3四半期連続のプラス寄与となりました。

政府支出

政府支出は▲0.1%のマイナス寄与。前期に引き続きマイナスとなりました。未だ政策の進展が見られないことから、大幅に寄与することは今のとことないと思われます。

まとめ

  • 米国GDPは予想を上回る伸びを示したが、国内最終需要の減速を受けて、金利低下、ドル安に動いた。
  • 在庫投資と純輸出を差し引いた国内最終需要は1.8%増と、前期の2.7%増から急減速した。
  • トランプ政権の景気刺激策の進展の遅れを考慮すると、個人消費や企業投資は比較的健闘しているとも考えられる。

9月のFOMCによりバランスシート圧縮というマネタリーベースの縮小が決定され、米国長期金利は徐々に上昇し、併せて為替レートもドル高に動いています。国内最終需要の減速を受けて一時的に金利低下、ドル安に反応しましたが、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めの姿勢は変わらないと考え、金利高、ドル高の動きは継続すると思います。

トランプ米大統領は、FRBの次期議長の指名について、ジェローム・パウエルFRB理事を指名する方向に傾いているということで、現在の金融政策スタンスが維持されるとの観測が広がっています。やはり大統領は、なるべく低金利を維持したいのでしょう。

急激な金利上昇が抑えられるということは、株式も最後の局面として暫く走る可能性もありますが、この水準からの買いはあくまで短期勝負になると思っています。

ドルポジションは継続保有。一旦落とした株式ポジションについては、悩ましいですが、慎重な姿勢を継続したいと思います。