自動車株とFA・半導体製造装置関連株

年始よりポジションをとっておりましたFA関連株と半導体製造装置株のロングと自動車株のショートですが、このうちFA関連株のロングと自動車株のショートの一部をクローズしました。FA関連株の目標に達したことと自動車株の2018年業績見通しが発表されたことが、クローズの理由です。

人手不足!

ポジションは複数の銘柄で構築していますが、代表的な銘柄で株価を振り返ってみます。

どちらかというと自動車株のショートが利益をもたらしてくれました。自動車株は米国の金利上昇が、自動車ローン金利の引き上げを通じて下方圧力を増すとの考えからです。先週、トヨタは来期もコンセンサスを超える減益予想を発表しましたが、株価は大きく下げませんでした。株価に織り込まれてきていたということもポジション解消の理由の一つです。

米国の経済指標は、遅効性のある雇用統計以外鈍化を示すものが増えてきていますが、依然、6月の利上げ確率は75%程度織り込まれており、利上げの可能性は高いと思われます。自動車株の停滞はまだ続くかもしれませんので、半導体製造装置株のヘッジとしての部分は残しています。

有機EL、3D-NANDの本格化に伴う半導体製造装置のピークはまだ来ていないと考えていますが、業績のモーメンタムが鈍化するまで、または高値を更新しているNASDAQが5%以上の調整をした場合にはクローズしようと思っています。

米国のAI関連は今だ強気で保有していきます。

人口知能(AI)

トランプ減税

トランプ政権は26日、法人税減税や海外利益に対する税率引き下げなどの税制改革案の概要を発表しました。就任前から法人税を15%にすると言っていましたが、この概要の中でもそのまま維持されています。減税の財源として国境税を導入すると見られていましたが見送られています。ムニューチン財務長官によると財源は、経済成長に伴う歳入増や法の抜け穴をふさぐことなどによって賄われるとしています。

共和党保守派を懐柔?

一部報道では、オバマケア代替法案に反対していた共和党保守派が軟化し、オバマケア代替法案の修正に協力するとも報じられています。だとすると前に指摘したようにシリア攻撃やアフガニスタン・タリバンへの強力爆弾攻撃、対北朝鮮への強硬姿勢などで共和党保守派の懐柔に成功したのでしょう。

減税の財源は?

巨額の財源は、ムニューチン財務長官が述べている通りにはいかないと思います。税率を引き上げるか、超長期債の発行が必要になるのではないでしょうか。ならばFRBに対するトランプ大統領の変節も納得がいきます。就任前はFRBに対し、早期の政策金利の引き上げを唱えていましたが、超長期債の発行は低金利の方が、都合がいいので、現状のFRBを信任すると発言したのだと思います。

株式市場への影響

高値水準にある株式市場にとっては、減税は必要不可欠なので、この改革案の発表は良かったと思います。当面、ドル高要因である国境税の導入を見送ったことで、急激なドル高も避けられました。したがってリスクは、実現までの時間でしょう。減税への期待を維持しつつ、経済の減速に耐えることができるかということになります。フランス大統領選挙が無事通過した場合には、個人的には株式市場の大きな調整は当面はないと考えています。米株のロングを増やし、日本株ではFA関連、半導体製造装置関連のロング、自動車株のショートを継続したいと思います。ただし、超長期債の発行が決定されれば警戒せざるを得ないですので、そういった発言が政府高官から出るようであれば、見直しを行いたいます。

 

シリア攻撃

トランプ大統領がシリアに対する攻撃を行いました。アメリカファーストを掲げる大統領らしくない攻撃です。アメリカは世界の警察をやめてしまったのではなかったのか。

とはいえ、トランプ大統領の行動原理がなんであるか少しわかってきたような気がします。このところ支持率が低下してきたため、強硬的な態度を示すことでの人気の回復。必然的に対ロシア関係が悪化するので、今いろいろとつつかれている対ロシアとの関係を薄められる。訪米中の習近平中国国家主席に対北朝鮮対応のプレッシャーをかける。などと一挙両得以上の効果を狙ったものではないでしょうか? 自分の都合に合わせて政策を変えるということが見えてきたような気がします。

当初、対ロシア政策が軟化するとみて、ロシア国債の買いを行い、少し前に報告したように雲行きが怪しくなったのでクローズしました。再度、参入の機会を見ておりましたが、これでその機会はなくなったようですね。

今、市場はトランプ大統領の政策遂行能力に疑問符をつけ調整していますが、市場の見方とは逆な目線で見ていこうと思っています。柔軟性の高い大統領なので、減税、インフラ投資も、意外と共和党保守派をうまく懐柔し、実現させていくかもしれません。多少、当初の期待よりは内容が薄くなるかもしれませんが、実行させていくのではないかと思います。まあ、市場の調整が大きくなるようだったら、買い下がってもいいかなという程度の期待ですけどね。

米国の景気指標 - 自動車販売

FRBが3回目の利上げを実施し、今後年内2回の利上げを織り込んでいる金融市場ですが、トランプ政権の経済政策の進展に暗雲が漂う状況において、調整を余儀なくされています。

オバマケアの修正案の延期にみられるように、トランプ政権は共和党保守派との対立から、議会を説得して政策を通すことに成功しておりません。今後は減税に取り組むとのことですが、ムニューチン財務長官は8月くらいが山場と示唆しています。

しばらくは政策の空白期間が生じますが、この間に金利上昇の影響が懸念されます。

 米国3月自動車販売

調査会社オートデータによると、自動車各社が発表した3月の米販売台数は年率1662万台と市場予想の1730万台を下回りました。トランプ大統領就任前から減速するのではないかと見ていた自動車販売ですが、少なからず金利上昇の影響がでてきたようです。

FA関連と半導体製造装置関連をロング、自動車株をショートというポジションを保有しており、反対売買のタイミングをはかっていましたが、米自動車販売の状況や政策の進展の遅延から、まだしばらくは保有しようと思います。

オバマケア代替法案の延期が示すもの

共和党によるオバマケア代替法案は、23日の採決予定から24日に延期され、さらに24日の採決も見送られました。当然、民主党は大反対。共和党も下院の多数を占めているとはいえ、共和党内でも穏健派と右派と別れており、一筋縄ではいかないようです。

もともとオバマケア(医療改革法案)は無保険者を救うために無理やり、民間の保険会社に加入させるというものです。当然、そんなことをすれば保険料が増大し、割をくう富裕層からは評判が悪くなります。貧困層を救うという大義名分ですが、内容はお粗末なものです。共和党は廃止にしたいわけですが、もとに戻すには「忘れ去られた人々」を無視して無保険者にすることになりますから、撤廃ではなく手直しで対応するのですね。

しかし、共和党にはティーパーティーのような小さな政府を標榜する右派がいますので、この議員たちを説得する必要があるわけです。

さて問題は、このように上下両院で多数を握っていても、共和党政権で「減税・インフラ投資」といったトランプ政権の経済政策が進められるのか?ということです。

こうした疑念から、株式市場は下落し、為替はドル安に動いています。期待で動いてきた分、現実を見るにつけ修正をするということでしょう。

さすがトランプ大統領は、すぐさま次は減税法案だということで市場の期待をつないでいます。減税は共和党の共通理念なのでインフラ投資よりも進めやすいと思いますが、インフラ投資は、多額の予算が必要になるのでオバマケア代替法案よりも困難です。

なかなか危険な状況になってきました。FEDが空気を読まずにバックミラーだけを見て利上げに走り、民主党はとにかく反対と叫び、共和党は分裂したまま、あゆみ寄らないままだと、株式は下げるしかありません。その確率が上がっているように思います。

まだ、マクロ戦略は静観が正解なのですかね。「木を見て森を見ず」戦略で、日本株のロングショートのウエイトを上げて、しのいでいくことにします。