フランス大統領選挙

明日、第一回目の投票結果がでますね。またしても日本市場が最初に影響を受けるマーケットになります。ブレグジット、アメリカ大統領選挙と日本人は何かと鍛えられます。さて選挙ですが、新聞報道のとおり大混戦のようです。これに合わせたISのパリ・シャンゼリゼでのテロなどもあり混沌としてきました。マーケットはEU離脱派の勝利の目が増した場合には、リスク回避ということでユーロ安、円高、株安で応じることになるでしょう。しかし、リスクはどうなるのかわからないのがリスクなので、ある程度結末が見えたところではもはやリスクではなくなります。慌てない行動を心がけたいものです。

ブレグジット

イギリスでの国民投票の結果、イギリスはEU離脱を選択しました。もともと統一通貨を導入していないし、国境が陸続きではないこともEU離脱へのハードルが低かったのかもしれませんが、何より英国人の気質が影響したのではないでしょうか。かつての大英帝国の誇りが巨大なEU官僚主義に打ち勝ったのだと思います。

フレグジット?

フランスでの問題は、若者の高い失業率が問題の一つですが、これはEUの移民政策が影響していると思います。難民を受け入れるという大義を掲げていますが、実態は安価な労働力として移民政策がとられているわけです。ドイツのように安いユーロが競争力につながるような輸出主導経済の国では、景気拡大による労働需要の拡大があり、安い労働力は必要になります。フランスの高い失業率を見ると、フランスでは国内景気が良くないわりに移民の流入が多いということなのでしょう。

 EUの未来

統一通貨、共通の移民政策の一方、個別財政という仕組みは、無理があるように思います。ましてや巨大な官僚機構を必要とするような組織には悲観的にならざるを得ません。今回、フランスがどうなるかわかりませんが、将来的には離脱していくところが出てくるのではないでしょうか? 気が付いたらドイツだけってことになったら、ユーロ(マルク)は暴騰するのでしょうかね。別な機会に検討してみたいと思います。

トランプ政権の変容

トランプ政権は、シリアに引き続き、アフガニスタンのISIL拠点にも攻撃を加えました。対北朝鮮でも強硬な姿勢を示し、半島周辺では緊張感が高まっています。これを受けて為替は、円高に推移し、株式は調整色を強める結果となっています。

アメリカファーストを唱えて大統領になったトランプ氏ですが、ここにきて大きく方針を変更しています。比較的容易に通ると思われていたオバマケアの代替法案が、共和党保守派の反対により、一度断念せざる負えなくなりました。共和党保守派の同調を得るために、シリア攻撃に踏み切ったのでしょう。また、イエレンFRB議長に対しては、当選前にさんざん再選はないとまで言っていわわけですが、ここにきて「尊敬している」とまで言い、再選も匂わすようになっています。思ったように経済政策が進まないことから、景気失速を回避するために、FRBには緩和的な姿勢を維持してほしいということなのでしょう。

トランプ大統領の最大の特徴は、こういった臨機応変さ、悪く言えばご都合主義です。これからもこうした変節があることでしょうから、予断をもって考えないことが大事ですね。

さて現状の投資環境は、当初の想定から大きくかい離したわけですが、マクロ戦略は奇跡的に損失を免れています。想定と異なるなる事態となるごとに、その都度ポジションをクローズしていったことが結果的に良かったわけです。あらためて事前に取り決めた通りに行動することの大事さを痛感しています。

今後ですが、最大の焦点は減税策(法人税)が実現するかどうかです。企業のアニマルスピリッツを掻き立てるには一番の方法であり、直接的に企業利益を増価させることが可能であるからです。この政策が実現しないと株式は今の水準を維持できないと思っています。

トランプ大統領は一度断念したオバマケア代替法案に再度取り組むために、減税を後回しにすると発言しました。これは減税の財源を確保する必要があるためですが、一連の変節により、対立している共和党保守派との和解に目途がついたということかもしれません。

であるならば減税の実現可能性があがるわけですが、実現までには時間がよりかかるということですし、緊張の高まっている北朝鮮との関係も見ていく必要があります。

予断を持たずに、キャッシュポジションを高めて事態の推移を丁寧に考察し、戦略の練り直しをして行こうと思っています。

 

森信親 金融庁長官の講演

4/7に日本証券アナリスト協会にて「資産運用ビジネスの新しい動きとそれに向けた戦略」における講演をされました。就任当初から金融機関に対して厳しい指導をされているなと思っていましたが、この講演の中で非常に同意できる部分や参考となる部分がありましたので、少しご紹介したいと思います。

「マルキールとエリスは、インデックス投信は、一般的に、アクティブ型投信よりもリターンは高いと指摘しています。米国では、企業のファンダメンタル価値を評価する投資家の層が厚いため、市場の効率化が進み、インデックス戦略が有効に機能していると言われていますが、10 年以上存続している日本の株式アクティブ型投信281本の過去10年間の平均リターンは信託報酬控除後で年率 1.4%であり、全体の約三分の一が信託報酬控除後のリターンがマイナスとなっていました。ちなみに、この 10 年間で日経平均株価は年率約3%上昇しており、インデックス投信が一般的にアクティブ型投信に比べリターンが高いとのマルキールとエリスの主張は、日本株投信についても当てはまるように思えます。」

アクティブ型の投信の多くが買い付け時に販売手数料を取っており、さらにインデックス型投信に劣後することになります。なかなか本物のアクティブ型投信を見つけるのは困難ですね。

「日本の投信運用会社の多くは販売会社等の系列会社となっています。投信の運用資産額でみると、実に 82%が、販売会社系列の投信運用会社により組成・運用されています。系列の投信運用会社は、販売会社のために、売れやすくかつ手数料を稼ぎやすい商品を作っているのではないかと思います。これまでの売れ筋商品の例をみても、ダブルデッカー等のテーマ型で複雑な投信が多く、長期保有に適さないものがほとんどです。こうした投信は、自ずと売買の回転率が高くなり、そのたびに販売手数料が金融機関に入る仕組みになっています。」

金融機関に資産運用の相談に行くってことは、鴨ネギのようなものなのですね。金融機関が真の意味での顧客本位のビジネスモデルに転換してほしいですが、顧客側もある程度の金融知識を持つことも大事ですね。

「日本で売れ筋商品となっているテーマ型投信は、売買のタイミングが重要な金融商品といえます。当然、安く買って高く売ることが基本となりますが、継続的に適切な売買のタイミングを見極めることが出来る投資家は、プロの中にも少ないはずです。先ほど申し上げたアクティブ型投信のパフォーマンスが、このことを裏付けています。個人が買う株式投信の売れ行きを過去に遡ってみても、株価のピークで株式投信が最も売れる傾向にあります。本年2月の我が国における純資産上位 10 本の投信をみてみると、これらの販売手数料の平均は 3.1%、信託報酬の平均は 1.5%となっています。世界的な低金利の中、こうした高いコストを上回るリターンをあげることは容易ではありません。日本の家計金融資産全体の運用による増加分が、過去 20 年間でプラス 19%と、米国のプラス 132%と比べてはるかに小さいことは、こうした投信の組成・販売のやり方も一因となっているのではないでしょうか。」

まったくその通りですね。テーマ型が戦略の大部分を投資家が選択するという意思決定を強いられている割に手数料が非常に高いと感じています。そのテーマに深い知識と市場の状況を理解している人以外はあまり触らない方が無難だと思います。

「皆様は、こうした状況をいつまでお続けになるつもりですか?投資商品を買っても思うようなリターンをあげられなかった顧客は、投資額を増やすものでしょうか?そうした商品を勧めた金融機関との取引をずっと続けるでしょうか?そうしたビジネスのやり方は国際的に競争力を高めていけるのでしょうか?」

森長官は本当に正論を述べられていると思います。金融庁のトップがこういった発言が出るということは、日本の金融機関は顧客本位に動いていないということを裏付けていますね。

「私の友人の欧米の運用者たちは、24 時間、365 日絶えず市場の動向を注視しており、自分の資産も賭けて投資判断を行っています。心も身体も擦り切れるくらいストレスが溜まる一方で、成功すれば大きな報酬を得ることが出来ます。このように、欧米の一流の投資運用業は、スポーツの世界と同様、究極の実力本位になっていると感じます。それと比べて日本はどうでしょうか。運用会社の社長が運用知識・経験に関係なく親会社の販売会社から歴代送り込まれたり、ポートフォリオ・マネージャーは運用者である前に○○金融グループの社員であるという意識が強く、運用成績を上げるより定年までいかに間違いをせず無事に勤めあげるかが優先されてはいないでしょうか。」

私も金融機関のファンドマネージャーの経験もあるので耳に痛いです。こうした状況を考えると、アクティブ型投信を選ぶこつは、ブティック型の資産運用会社が運用しているものを選ぶということでしょう。

森長官のさらなる今後の活躍に期待しています。

http://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/20170407/01.pdf

シリア攻撃

トランプ大統領がシリアに対する攻撃を行いました。アメリカファーストを掲げる大統領らしくない攻撃です。アメリカは世界の警察をやめてしまったのではなかったのか。

とはいえ、トランプ大統領の行動原理がなんであるか少しわかってきたような気がします。このところ支持率が低下してきたため、強硬的な態度を示すことでの人気の回復。必然的に対ロシア関係が悪化するので、今いろいろとつつかれている対ロシアとの関係を薄められる。訪米中の習近平中国国家主席に対北朝鮮対応のプレッシャーをかける。などと一挙両得以上の効果を狙ったものではないでしょうか? 自分の都合に合わせて政策を変えるということが見えてきたような気がします。

当初、対ロシア政策が軟化するとみて、ロシア国債の買いを行い、少し前に報告したように雲行きが怪しくなったのでクローズしました。再度、参入の機会を見ておりましたが、これでその機会はなくなったようですね。

今、市場はトランプ大統領の政策遂行能力に疑問符をつけ調整していますが、市場の見方とは逆な目線で見ていこうと思っています。柔軟性の高い大統領なので、減税、インフラ投資も、意外と共和党保守派をうまく懐柔し、実現させていくかもしれません。多少、当初の期待よりは内容が薄くなるかもしれませんが、実行させていくのではないかと思います。まあ、市場の調整が大きくなるようだったら、買い下がってもいいかなという程度の期待ですけどね。

米国の景気指標 - 自動車販売

FRBが3回目の利上げを実施し、今後年内2回の利上げを織り込んでいる金融市場ですが、トランプ政権の経済政策の進展に暗雲が漂う状況において、調整を余儀なくされています。

オバマケアの修正案の延期にみられるように、トランプ政権は共和党保守派との対立から、議会を説得して政策を通すことに成功しておりません。今後は減税に取り組むとのことですが、ムニューチン財務長官は8月くらいが山場と示唆しています。

しばらくは政策の空白期間が生じますが、この間に金利上昇の影響が懸念されます。

 米国3月自動車販売

調査会社オートデータによると、自動車各社が発表した3月の米販売台数は年率1662万台と市場予想の1730万台を下回りました。トランプ大統領就任前から減速するのではないかと見ていた自動車販売ですが、少なからず金利上昇の影響がでてきたようです。

FA関連と半導体製造装置関連をロング、自動車株をショートというポジションを保有しており、反対売買のタイミングをはかっていましたが、米自動車販売の状況や政策の進展の遅延から、まだしばらくは保有しようと思います。