米国によるイラン司令官殺害というニュースから始まった2020年であるが、新型コロナウィルスの登場により混乱する状況となっている。
金融市場もこの影響を受け、国際的な株価下落、金利低下に見舞われている。FRBは、3月4日に50bpの緊急利下げを行い、各国も積極的な金融政策を表明した。
日経平均
S&P500
米国10年国債金利
米国の利下げ
FED(連邦準備制度)は、通常行われるFOMC会合ではなく、緊急の会合を開き1.50%-1.75%のレンジから1.00%-1.25%へと0.5%の利下げを決定した。きわめて異例の対応と言えるが、これに先駆けてトランプ大統領が、「利下げが遅い」と表明していたことから、またしても大統領に催促されて実施した形(パウエル議長は認めないが)となった。
はたして、この利下げがコロナに効くのかというと、コロナには効くはずはない。コロナウィルスの流行により経済活動が停滞する中では、利下げによる経済への利下げは有効ではないだろう。一方で金融市場に対しては多少有効であろう。しかし、すでに短期債の大量購入を通じて市場に資金を供給している中では、その影響も限られるのではないだろうか。
すでに日本、欧州はマイナス金利の世界に突入しており、政策余地は限られる。また米国もマイナス金利まであと1%の政策余地しかなくなったわけである。従って今後の経済対策は、中央銀行から政府の財政政策へ主役が移ることになる。さらに政府債務を拡大させるわけで、債務の膨張に金利が耐えられるかどうかということになろう。
ウィルスの感染状況
中国、武漢から拡大したウィルスだが、瞬く間に中国全土に拡大し、隣接するアジア諸国、日本、ヨーロッパへと拡大し、いよいよ米国へも伝播しようとしている。
中国が発表している状況が正しければ、感染者数の伸びは鈍化し、回復者数の方が多くなってきており、ピークを過ぎたように思える。現在は、韓国、イタリアで拡大している状況であり、今後、米国の感染拡大がどうなるかということであろう。
世界景気のドライバーである米国の経済が最も重要であるので、米国の感染状況に注視する必要があろう。
今後の方針
SARS,MERSがそうであったように、また、現在の中国の感染状況が物語るように、いずれウィルスは沈静化する。あくまで経済に与える影響は一時的なものである。従って、この一時的な経済の悪化で破綻するような企業の株式を避けながら、運転資金に余裕がありながらも大きく下落した企業の株式のリバウンドを狙うこととしたい。
タイミングとしては、最も重要である米国での感染のピークを確認できるかどうかによるが、その時点(おそらく株価の底値)を狙ってみたい。
しかしながら、あくまでリバウンド狙いであり、おそらく短期のポジションとなるだろう。世界的に金融政策の余地がなくなる中、あくまで長期的な株式の買い場は、経済の減速に金融市場が耐えらるかどうかの状況次第であろう。