FOMCと今後の市場動向予測

アメリカの中央銀行であるFED(連邦準備制度)は9/18、金融政策決定会合であるFOMCを開き、政策金利を1.75%-2.00%へ0.25%利下げすることを決定した。

声明文も前回の声明文とほぼ同じであったが、今後の政策金利の推移を予想したドットプロットは、今後数回の利下げを予想していた前回よりも、現状維持予想が増え、ややタカ派的な内容となった。

これを受けて為替市場はややドル高に振れたものの、株式市場は調整することもなく、高値圏を維持している。

ドル円レート

S&P500(米国株式)

日経平均

ECB(ユーロ圏)も、先だってマイナス金利を拡大し(-0.4%→-0.5%)、量的緩和を再開しており、世界的に量的緩和モードとなっている。今後の焦点は、米国がいつ量的緩和を再開(QE4)するかであろう。

なぜ株価は高値圏?

米国株式市場が史上最高値圏で連続して利下げを行うという不思議な状況は、なかなか理解しがたいものである。

株価が高値圏を維持している理由としては、中国経済の失速、欧州経済の減速が明らかになる中で、米国経済は、底堅い個人消費に支えられて強さを保っていることが挙げられる。

一番大きな要因は、米国にはさらなる緩和余地があり、量的緩和再開というバズーカをもっているということではないか?

では、米国が量的緩和を再開するのはどういった状況であろうか。昨年の12月の株式の大幅下落で、FRBは金融引き締めの態度を180度転換し、利下げへと舵を切ったことを考えると、次の量的緩和の再開には、やはり大幅な株価の調整が必要なのではないか。

つまり、高値圏の株価は、量的緩和期待で支えらるものの、量的緩和は株価下落がない限り再開されないという、不思議な関係のように見える。

今後の動きは?

来年、選挙を控えるトランプ大統領は、来年の選挙前には高い株価のサポートが必要と考えているだろうから、来年まで、インフラ投資、減税第2弾、対中国貿易交渉妥結というカードは残し、これまでと同様に、ツィーターで株価が高いときに対中強硬姿勢を見せ、安いときにそれを緩和させるという操作?で株価をコントロールしようとするだろう。

これらのことから、為替については、単純に金融緩和余地のあるなしで今後の方向性が決まると考えている。つまり、ドル<ユーロ<円といった関係になり、緩和余地のない円が強くなる状況を想定している。

株価については、ボックス圏での横ばいが継続すると考えるのが妥当だろうが、株価が、緩和期待だけで保たれている以上、大きな調整を念頭においておくことがいいのではないか。