とうとう米国株式が再び市場最高値に接近してきた。ナスダックはすでに最高値を更新しており、代表的な指標であるダウ平均やS&P500 も時間の問題かもしれない。
2018年後半の世界同時株安によって、FEDの金融引き締めは撤回を余儀なくされ、利上げを停止し、バランスシートの圧縮を9月までに終了することしたことから、株式市場の反発が始まったわけである。
もともと、金融市場から資金を吸い上げるバランスシート圧縮により、リスク資産の下落を予測していたわけだが、そのきっかけとして長期金利の上昇(3%超え)を想定していた。その長期金利は低下しており、再び高すぎない金利のもとでリスク資産が堅調となる適温相場が復活したのである。市場が想定する市場変動率(リスク)を意味するVIX指数もまた急落前の水準まで低下している。
S&P500
米国10年国債
VIX指数
通常、この局面での金利低下は景況感の悪化とともに株価下落を伴うものなのだが、これまでの歴代議長よりも素早いパウエル議長の変身が奏功しているのだろう。
はたしてこの状況は持続可能なのか?
この局面においてもっとも重要な点は、リスク資産のバリュエーション水準(割高、割安)だろう。VIX指数にみられるようにリスクは過小評価されており、株価水準はバフェット指数(株式時価総額VS名目GDP)はテックバブル(2000年)当時の水準、リスクの高いハイイールド債は、高値を更新している。
ハイイールド債
つまり代表的なリスク資産は非常に割高な水準まで買われている。ただし、いくつかの指数は戻り切っていない。株価動向の先見性を示す小型株や新興国通貨は戻りが鈍くなっている。
ラッセル2000(米国小型株指数)
トルコリラ
現在の状況はバブルの延命局面であり、遠かれ調整局面が訪れるのではないかと考えている。日本株の売り建て、ドルの売りは依然ホールドしているが、ピンポイントで高値を当てることは難しいと痛感している。キャッシュポジションを高めて下落に備えることとしたい。