国内景気のはなし

3月 7日に、政府は 1 月の景気動向指数の一致指数の基調判断を「下方への局面変化」に下方修正した。これは前回 2014 年の消費増税以来のこと。

普段あまり国内景気の報告をしていないが、決して手を抜いているわけではなく、日本経済のものづくり経済という特性から、世界景気のドライバーである米国経済、中国経済の動向を見ている方が、正しい判断ができるという考えからだ。

残念ながら一党独裁国家である中国経済の統計は到底信頼に足るものではないため、ほとんど無視している。かわりにかかわりの深い米国、オーストラリア、カナダ経済の動向をもって代替としているが、結局のところもっとも比重が高い米国経済の分析に時間をかけているわけだ。

中国経済の失速は、オーストラリア経済の失速をもたらしているが、今週から始まった全人代では、目標とする成長率を 6.0~6.5%と低めに定め、大型減税(2 兆元=33 兆円)や社会保険料削減を打ち出した。しかし、過去行ってきた固定投資は行わないようだ。過剰設備による財政の悪化を招く政策は行わないということだろう。

さて国内景気を見る上でのポイントだが、人口減少にあえぐ国内においては消費よりも輸出、ひいては生産の状況に注意を払うべきだろう。

2月28日発表の1 月の鉱工業生産は前月比▲3.7%低下と大幅な低下となった。生産のマイナス寄与度が大きかったのは自動車工業、電機・情報通信機械工業など日本の輸出の基幹産業である。

対中国の輸出比率は約20%で米国向けとほぼ同程度ある。さらに中国と関連の深い国(香港、台湾、シンガポールなど)を合計すると15%程度あることから、中国経済の影響をまともに受けるわけである。

結局のところ、日本経済は、中国経済の動向ひいては米国経済の動向次第ということになる。米中貿易協議の結果に大きな影響を受けることになるが、かといって協議が伝えられているように合意に至っても、中国の過剰設備・債務が解決するわけではないので楽観はできないのではないか。