米国株式と日本株式

メインシナリオの策定において、日経平均の予測の際に、米国株式の予測×為替としました。日本の株式を馬鹿にしているわけではありません。

現状、指数採用の中で輸出企業のウエイトが高く、米国景気が世界の経済をリードしている状況や、国内消費が大きく加速する状況ではないことが要因です。

下図は、2013年6月末を揃えるように調整したものですが、円ベースのダウジョーンズと連動していることがわかります。寧ろ、劣後する場面が多いですね。これは内需企業のパフォーマンスが影響していると思われます。

規制緩和の進展や減税などが実行されれば、日本固有の上昇を見せるかもしれませんが、日本の政治、官僚機構のもとでは、難しいでしょうね。しばらくは、円ベースのダウジョーンズに連動する状況が続くと考えています。

第4四半期米国GDP

米商務省が27日発表した2016年10~12月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比年率換算で1.9%増。もともと事前予想も2.2%と前四半期の3.5%から鈍化する見通しでした。予想を下回る結果となりましたが、為替市場に大きな変動もありませんでした。

トランプ政権が大型減税や財政出動の方針を掲げていますので、今後の期待からか、若干の未達は見逃してくれたようです。

個人消費

大きなウエイトを占める個人消費ですが、2.5%増となりました。前期の3.0%増から伸びがやや鈍りましたが、及第点でしょう。懸念していたモノ消費も5.2%増と好調でした。

固定投資

設備投資は2.4%増。原油価格の回復により関連投資が増えたためです。3四半期連続となり、底堅さを見せる結果でした。住宅投資は10.2%増と大幅なプラス。金利の下げ止まりの影響からか、2四半期ぶりにプラスに転じました。まずまずの結果ではないでしょうか。

輸出入

輸出は、4.3%減、輸入は、8.3%増。輸出は、前期の気候要因による大豆輸出の急増の反動ということですが、大統領選後のドル高の影響も考えられるでしょう。トランプ政権の為替牽制の材料にされなければいいのですが。

まとめ

・米国GDPは、1.9%増。コンセンサスを下回ったが大きな懸念はない。
・個人消費は及第点。モノ消費が増加。
・設備投資もまずまず。住宅投資は上振れ。
・輸出の減少が懸念材料。

1月24日にエントリーしたドル円ロングですが、当初は、予想を下回る結果が出る可能性もあると考えて、少し警戒していましたが、この内容だと問題はなさそうですね。来週はFOMCですが、利上げ見送りとなるのではないでしょうか。多少、タカ派的なニュアンスを出すと思います。

老後の資金を考える

最近、年金受給年齢の引き上げなどが話題になっています。雇用延長がままならない中では、老後が見えてきた世代の方々は、ますます財布の紐をしめることになります。老後の資金について考えてみたいと思います。

ゆとりある老後
老後は経済的にゆとりのある生活を過ごしたいというのは、誰もが考えることだと思います。旅行やレジャー、考えただけでも楽しいのですが、ゆとりある老後の生活費は、いったいどのくらいなのでしょうか?

下図は、「生命保険文化センター」が公表した調査結果(平成28年度)ですが、これによるとゆとりある老後に必要と考える生活費は、夫婦2人、平均で月額約35万円となっています。都会に住む方たちにとっての実感としては、40-50万円といったところでしょうか。


http://www.jili.or.jp/research/report/pdf/h28hosho.pdf

公的年金の支給額
一方で、毎月保険料を納めている公的年金ですが、大体どのくらいもらえるのでしょうか。たまに年金定期便が来ますので大体把握できていますが、平均ではどのくらいなのでしょう。

厚生年金・・・月額14万7千円
国民年金・・・月額5万1千円

厚生労働省年金局「平成26年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/H26.pdf

かなり少ないですね。ゆとりある老後にはほど遠い額です。しかも医療の進歩などにより、どんどん寿命が延びています。では老後の期間はどのくらいを想定すべきなのでしょう。

平均寿命・平均余命
平均寿命についてはよく新聞などで報道されています。老後を考えたときに重要なのは、残された寿命はどれくらいなのかということでしょう。それは平均余命で推察することができます。

ちょっと古いですが、下記の表は、厚生労働省の「簡易生命表」から作成したものです。

厚生労働省「簡易生命表」/平成27年
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life15

これによると、平均寿命でよりも、平均余命でみた寿命の方が若干長いということがわかります。平均寿命からくるイメージよりも少し長生きできるということです。

元気で長生きというのが理想ですが、生きることはお金がかかります。寿命の長期化は、老後の資金にとってはリスクです。

増大する介護・医療保険料、消費税
ゆとりある老後にとって、老後の資金リスクは寿命の長期化だけではありません。まず介護・医療費などの保険料は、年々値上げされています。今後も引き上げされる可能性が高いでしょう。

消費税も一旦延期されましたが、いずれは10%へ引き上げられます。

デフレからインフレへの転換
デフレ経済は、現金保有率の高い高齢者にとっては、消費という観点では望ましいものです。円安によるインフレ圧力の増進は大きな脅威です。

まとめ

・ゆとりある老後には、月額平均35万円。
・平均余命は徐々に長期化(50歳男性:約32年、女性:約38年)
・社会保険料、消費税は、増加の一途
・円安インフレ経済のリスク
・公的年金は、厚生年金15万円、国民年金5万円程度

ゆとりある老後を目指す50代として計算してみますと

必要なお金:ゆとりある生活費:35万円×12×平均余命:33年=13、860万円
公的年金(厚生年金):厚生年金月額:15万円×12×平均余命:33年=5、940万円
公的年金(国民年金):国民年金月額:5万円×12×平均余命33年=1,980万円
注)あくまで平均を使った計算です。参考までに。

夫婦共働きとしてみると、11、880万円。意外ともらえると感じるかもしれませんが、まだ1、980万円足りませんね。どちらかが専業主婦(夫)だった場合は、5、940万円ほど足りません。さらに社会的コストの増加やインフレを考えると大変です。

「ゆとりある老後」を送るためには、公的年金では到底カバーできません。充実した企業年金制度をもつ、一部の大企業に勤める方や天下り可能な官僚さん以外は、自助努力による備えが大切ですね。

税制優遇をしっかり考慮し、計画的な貯蓄と適切な資産運用で楽しい老後を目指したいものです。がんばらねば。。。

投資行動開始

忘れ去られた人々
トランプ政権が発足して、いきなり保護貿易とかが全面に出てきました。当然、為替も株も大統領選後の動きの反対方向に向かっています。

そもそもトランプ大統領がなぜ誕生したのか。トランプ大統領がよく口にする「忘れ去られた人々」の支持が原動力でしょう。いわゆるラストベルトで働いていた白人高卒男性に代表される人々です。

トランプさんが登場するまで本当に忘れ去られていたのだと思います。メディアが取り上げることもなく、ヒラリーさんには「嘆かわしい人たちの集まり」と馬鹿にされ、一方で米国経済は、世界金融危機のあとマクロ的には回復し、経済は順調だと思われてきました。

こうした人々に報いるためには、やはり米国への生産回帰政策をまずアピールすることは自然なことなのでしょう。難民、LGBT、マイノリティを支援することは「いいこと」で、グローバリズムについていけない自国の労働者を守ることは「甘やかし」なのでしょうか。しばらくはトランプ大統領のこのスタンスが続くかもしれないですね。

2017年の投資行動
2017年市場見通しを作成しましたが、実際の投資行動を考える必要があります。

経済予測がうまく出来ても、投資が成功しなければ投資家として意味がありません。現在は、トランプ大統領の保護主義スタンスで調整していますが、この調整はポジションをとるにはいいチャンスだと思っています。

最終的には米国の金利は上昇すると考えているため、現在の水準から、ドル円の買いと株式の買いを始めたいと思います。また、安定的な原油価格、金利の大幅な低下が見込まれるロシア債券の買いも行います。

2018年になると思いますが、ドル円レートが125円に達した場合、もしくは米国10年国債金利が3%に達した場合には、ポジションの解消を行う予定です。

その際、米国株ショートを検討し、米国実質金利の水準次第では、金への投資も念頭に置きたいと思います。

欧州の選挙でポピュリズムの動きがみられる場合には、ユーロの買いも考えたいですね。

2017年市場見通し メインシナリオ

世界経済の予想
今年の経済予測は非常に難しい。世界経済を牽引する米国経済が、トランプ政権によって、どのように推移するのかが読めないためだ。トランプ大統領の掲げる減税、大規模財政支出、規制緩和、移民規制、保護貿易政策の効果をそれぞれ考えてみたい。

トランプノミクスその1・・大規模な減税、規制緩和、インフラ投資
これらの財政資金のばらまきは、一時的な成長率のかさ上げに寄与するだろう。金融規制の緩和は、中小企業や起業家の資金調達に寄与し、減税と相まって設備投資を後押しすることになる。特に減税は、停滞していた企業収益を引き上げ、高値で推移する株価の支えになりえる。2018年半ばまでは政策効果が続くのではないか。
ただし、こうした財政支出は、本質的には将来の需要の先食いなので、潜在的な成長率を大きく改善する可能性は低い。米国経済の雇用状況は非常に堅調であるため、財政で景気を刺激すると金利の上昇に見舞われることになる。

トランプノミクスその2・・移民規制、保護貿易
停滞している世界経済の中で、唯一、堅調な経済を持つ米国の強みは、比較的良好な人口動態にあるだろう。移民規制を強化することによって、この人口動態に変調をきたす可能性がある。
また、保護貿易政策により、生産拠点が米国に回帰する。米国内で生産が増えると、景況感は大きく改善しよう。ただし、結果的に割高な商品が増えることによって、インフレが加速することになるだろう。もちろん、家計にとってはマイナス。保護貿易は長期的に経済には良くない。

トランプノミクスその3・・財政赤字・エネルギー
財政赤字については、当面は拡大が避けられないだろう。しかし、インフラ投資銀行の設立等により、極力抑えることになるかもしれない。環境・エネルギーについては、温暖化対策計画撤廃、石油の国内生産拡大の方針。だがOPECの減産合意もあり、原油価格の大幅な下落はないのではないか。景気拡大による需要増は、米国シュール企業にとってプラス。

2017年のトランプノミクス
こうしてみると、2017年から2018年にかけては、非常に力強い経済指標が出てくることが予想される。企業業績も停滞から脱出し、株価に見合ったものとなるだろう。米国連邦準備理事会(FRB)も、年2~3回の利上げを行うに違いない。財政支出と金融引き締めは、レーガノミックスの初期と同様にドル高圧力を増すことになる。
これらのことから、日本独自の経済成長要因は今のところ無いに等しいため、日本経済は好調な米国経済に牽引される形で推移しよう。結果的に年内の市場環境は良好に推移するのではないだろうか。

為替:17年後半にかけて125円に向かう。
米国金利:10年国債金利で3%程度まで上昇。
米国株価:金利2.8%程度までは、堅調に推移する。
日本金利:ゼロ金利政策継続により、低位安定。
日本株価:米国株式×ドル円レートに連動。
と予想する。

リスク要因
欧州では、極端な金融緩和による銀行業や年金などへの悪影響の広がりで、ECBへの批判が強まっており、ECBが緩和縮小に動けば、世界的な長期金利上昇のリスクとなろう。春にはフランス大統領選、秋にはドイツの総選挙が予定されている。世界的な反グローバリズム、ポピュリズムの流れの中で、移民規制、保護貿易、拡張財政が唱えられ、新たな地政学リスクとして捉えられる。

さらに新興国については、資本流出圧力にさらされるだろう。トランプノミクスによる拡張財政のため、ドル上昇とともに、中国からの資本流出圧力がさらに強まる。資本規制、元買い介入が予想されるが、中国当局は大幅な元の切り下げに追い込まれるかもしれない。元の大幅な切り下げの結果、新興国通貨も大幅に減価するだろう。一時的なリスクオフによる円高・株安のショックがあるかもしれない。

長期的なリスク要因
長期的には、先進国の人口動態に基づく、または債務の長期サイクルによる、恒常的な低成長トレンドからの脱出は困難に思える。もともと、米国経済の景気拡大局面は成熟局面にあり、良好な雇用による消費の回復が見られるものの、自動車販売や設備投資などはすでに減速していた。トランプノミクスによって一旦回復するが、積極財政は需要の先食いであり、大きく潜在成長率を改善させることは困難だろう。むしろ移民規制や保護貿易は、潜在成長率の低下を招く。金利上昇とドル高の継続によって、トランプ景気は長く続かないのではないか。恐らく18年中に何らかの変調をきたすかもしれない。

問題は、マーケットがこのトランプ景気の終焉をどこで織り込むかであろう。見るべき指標は米国長期債金利の水準。米国長期債金利が3%程度まで上昇した場合に株価が高値圏にあれば、一旦リスクオフを考えてみるべきなのだろう。